REVIEW

[Alexandros] Swan

[Alexandros] Swan

ニューアルバム『EXIST!』のリリース(2016年11月9日)をすでに発表している[Alexandros]。
その中から先行リリースされたシングルが『Swan』だ。リリースと同時に公開されたMVは全編モノクロで仕上げられており、“嘘” を知覚しながらも愛着ゆえに相手を疑いきれない感情を視覚的に表現しているように思える。

そして、一度でも聴くと耳に残る印象的なメロディーと心に引っかかるのはサビで繰り返される≪愛を歌うそぶり≫というフレーズ。この切なくやりきれない言葉は、オートチューンをつかった機械的な音色で発せられる歌い出しがとても印象的だ。ゆえに後にリフレインされるこの言葉がより肉感的で感情的に聞こえてくる。
主人公は “愛を歌うそぶり” をする相手を嫌いになれないままに楽曲はクライマックスを迎え、≪愛を歌うそぶり見せつけながら / ひと思いにこうトドメを刺して≫と楽曲は締めくくられる。

≪愛を歌うそぶり≫という “嘘” に苦しめられながら、≪トドメを刺される≫その時まで見たいと願う主人公は、≪愛を歌う≫というこの上無く美しい “嘘” そのものを愛している…という矛盾が楽曲により一層の美しさを与えていると言えるのでないだろうか。
この矛盾はタイトルである “Swan”(白鳥)を評してよく言われる「優雅に泳ぐが、水面下では必死に足を動かしている」という姿に重ねられているのだろう。

さて、2016年8月23日に新木場 STUDIO COASTで行われたライブでは『Swan』もインターネットを通じて生配信された。
筆者が拝見させていただいたインターネット生配信ではリリース前にも関わらず、ファンから “待っていた!” “最高!” などと『Swan』の演奏を今か今かと待ち望むようなコメントが多数散見され、[Alexandros]が常にオーディエンスの期待を超え、心を引きつける新曲を生み出していることを再認識させられた瞬間でもあった。

そしてライブバージョンの『Swan』では、川上(Vo.&Gt.)をはじめ、メンバーそれぞれが音源よりもソリッドな感情をぶつけるようなパフォーマンスを見せつけてくれ、楽曲の持つ激しくも切ない情感の厚みがより一層増していたように思えた。川上が紡ぎ出す言葉遊びのような歌詞と突き刺さるようにまっすぐなサウンドはファンのみならず思わず聴き入ってしまう内容であった。

また焦燥的なタイトル曲にストリングスが安堵感を生み出すカップリング曲『Nawe, Nawe』の対比にもぜひ注目していただきたい。これからリリースされるアルバムの懐の深さを予感させる魅力的な1枚と言えるのではないだろうか。(ライター・水田眞子)

【Official Website】
https://alexandros.jp

[Alexandros] Swan

  • 発売日:2016年8月24日
  • 収録曲:
    M1. Swan / 関西テレビ・フジテレビ系全国ネット 火曜22時連続ドラマ「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」主題歌
    M2. Nawe, Nawe / 映画「ターザン:REBORN」日本版主題歌
    M3.ワタリドリ(live at 大阪城ホール 2016.6.26) / アサヒビール「アサヒ ザ・ドリーム」CM ソング [初回盤 DVD] [Alexandors] SXSW 2016 Behind the Scene
  • 価格:初回限定盤:CD+DVD UPCH-7143¥2300+税 通常盤:CDのみ UPCH-5881¥1300+税